メンテナンスについて
日常の保守整備は、外部環境からの腐食防止と作動油の劣化による作動不良に対して行ってください。
・腐食に対する内部機構保護のため、部品の合わせ面には全てシールがしてありますが、外部露出部には定期的に下記の点に注意して防錆塗装を行ってください。
※ボルト、プラグの六角穴をパテで埋める。
※部品の合わせ面には特に注意する。
・作動油の劣化(ゴミ、酸化物等)により、スプール、ピストン等がスティックを起こすことがありますので、作動油の管理は充分に行ってください。
標準メンテナンス工具
※スパナもしくはモンキースパナ
※六角棒レンチ(5,6,8,10,14)
※ドライバー(-)
※スナップリングプライヤー
※プライヤー
※プラスティックハンマー
注意事項
1)部品はトレイにまとめ紛失に注意する。
2)欠陥のある部品は交換する。
3)シール類は交換する。
4)組立前に部品をよく洗浄する。
5)締付ボルトは適正トルクで、かつ均等に締め付ける。(締付ボルトの推奨トルクは表-1を参照下さい)
6)ゴミ、異物が入らぬように注意する。
7)組立調整後、防錆塗装を行う
表-1 締付推奨トルク(材質はSCMの場合)
ねじサイズ | M4 | M5 | M6 | M8 | M10 | M12 | M14 | M16 |
トルク[N・m] | 3.4 | 6.9 | 11.8 | 29.4 | 56.8 | 98.0 | 156.8 | 235.2 |
※締付トルクの許容差は±15%とする
操作弁(PC機能付)
現象 | 原因 | 処置 |
・レバーが固い。 ・レバーが動かない。 |
スプール部に異物が混入している。 | ・分解・清掃によって異物を除去する。傷があれば修正する。 ・修正できない場合は交換する。 |
締結ボルトの締め付け異常により、スプールが動かない。 | ||
油が漏れる。 | Oリングが損傷している。 | Oリングを交換する。(※1) |
圧力が上がらない。 | リリーフ弁が作動している。 | リリーフ弁を調整する。 |
パイロットリリーフ弁に異物が混入している。 | ・分解・清掃によって異物を除去する。傷があれば修正する。 ・修正できない場合は交換する。 |
|
PCピストン部に異物が混入している。 | ||
オリフィスに異物がつまっている。 |
※1:Oリングは2年ごとに交換する。また、オーバーホール等で分解・組立を行う時はその都度交換する。
ブレーキ弁
現象 | 原因 | 処置 |
不作動 | ピストンのゴミ噛み等によるロック | 設定圧付近で振動する。 |
圧力が上がらない。 | ボールチェックがロック、或いは動きが悪く開いたままになっている。 | ボールチェック部を分解・清掃する。 |
シート部からの油漏れ | Oリング損傷 | Oリングを交換する。(※1) |
慣性の大きな負荷を停止する時異音がする。 | リリーフの設定圧が高すぎる。 | 適正圧力に設定する。 PC弁の設定圧より3MPa高く設定する。 |
設定圧付近で振動する。 | PC弁リリーフまたは他のリリーフ弁と共振している。 | リリーフ弁設定圧を再調整する。 |
※1:Oリングは2年ごとに交換する。また、オーバーホール等で分解・組立を行う時はその都度交換する。
カウンタバランス弁
現象 | 原因 | 処置 |
ハンチングする。 | 負荷変動に対してスプールの反応が速い。 | カンバラ絞り調整ネジを締め込む。 |
巻き下げ時にカウンタバランス弁が作動せず自由落下する。 | ・スプール部に異物が混入している。 ・チェック部に異物が混入している。 ・パイロットラインに異物がある。 |
・分解・清掃によって異物を除去する。傷があれば修正する。 ・修正できない場合は交換する。 |
油が漏れる。 | Oリング損傷 | Oリングを交換する。(※1) |
巻き上げ時に異常圧が立ちアクチュエータが作動しない。 | チェック部に異物が混入している。 | ・分解・清掃によって異物を除去する。傷があれば修正する。 ・修正できない場合は交換する。 |
巻き下げ時に異常圧が立ちアクチュエータが作動しない。 | パイロットラインが絞られ過ぎてスプールの作動が遅い。 | カンバラ絞り調整ネジを緩める。 |
※1:Oリングは2年ごとに交換する。また、オーバーホール等で分解・組立を行う時はその都度交換する。
オリフィス交換(応答性)
PC操作弁の応答性は作動油粘度、操作弁Pポートへの流入油量、圧力等により影響を受けます。
この応答性はオリフィス穴径の変更により調整することができますが、大きくしすぎると油圧システムによってはハンチング発生の要因となりますので穴径は適切なものをご使用ください。P1ポート使用時には管路のエアー抜きを完全に行ってください。
【オリフィス交換手順】
1)応答が遅い場合は図5⑤のプラグ(R1/8)を取り除き六角レンチにて奥に装着されているオリフィスをオリフィス径の大きいものと交換してください。
2)ハンチングが発生する場合は応答が速すぎますのでオリフィス位置⑤のオリフィスをオリフィス径の小さなものに交換するか、オリフィス位置④にオリフィスを追加(MSVSS)してください。その場合、オリフィス径が必ず④≧⑤となるようにしてください。
標準オリフィスサイズ
MSVSS | -04 | -06 | -08 | -12 | -16 |
オリフィス位置④ | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 |
オリフィス位置⑤ | φ0.6 | φ0.8 | φ1.0 | φ1.2 | φ1.2 |
MSVSS | -04 | -06 | -08 | -12 | -16 |
オリフィス位置④ | φ0.5 | φ0.6 | φ0.8 | φ1.0 | φ1.0 |
オリフィス位置⑤ | φ0.5 | φ0.6 | φ0.8 | φ1.0 | φ1.0 |